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大学入試に通信添削ってどうなの?

本当のところはどうなのかを知るには、自ら体験するのが一番です。高校を辞めた後、いろんな教育業界の仕事をやってみました。

今回は、難関大学を目指す生徒たちに人気ナンバーワンの、あの通信添削についてお話しします。

答案が真っ赤になって返却されることで有名な添削は、誰がどのように行なっているのでしょうか。

添削者になるには3回の選考があります。ちなみに大学生は不可。大学院生ならOKです。1次審査は書類選考。2次審査は教科のウェブテスト。制限時間は特になく、何を調べても良いというものです。パソコン画面で解答する、調べなければ30分程度で終わる大学入試レベルの問題です。そして最終審査は模擬添削です。

これがとんでもない曲者です。添削例と共に送られてきた模擬答案は、トラップ満載の実に手の込んだもの。若手教員の研修に使いたいぐらいで、知識はもちろん、経験がないと、きちんと添削はできません。調べればできるというものではありません。本気になって添削することを強いられます。

合格すると、担当する学年やコースが指定されます。こちらから希望する事はできません。それから、赤ペンとの格闘の日々が始まります。筆記具も修正液も指定されます。もっとも、現在はデジタル添削に移行したので、手がインクで真っ赤になったり、痛くなったりすることはありません。答案の受け取りや発送の手間もなくなりました。でも、Windows PCが必要です。Macではできません。

やってみると評判通りの難問です。自分で解かないと添削できませんから、もちろん解きます。そして、添削は、これでもかとコメントするように指示される(文字数が足りないと送れません)ので、時間がかかる予想以上に大変な業務です。

もちろん、解答例や添削例、採点基準はあるのですが、生徒が書いてくる東大や京大の英作文の解答は実に様々で、時にネイティブの意見を聞いたり、辞書や書籍を調べたりで、なかなか大変です。私自身、高校教師時代より、はるかに辞書を引いています。

現在、年間に何百人もの東大受験生の答案を見ています。どんな進学校に務めていても、これほど多くの東大受験生の答案を見る事はありません。自然と、東大受験生はどれぐらいの答案を書くのかがわかってきます。目が肥えてくるのです。中には、とんでもなくできる生徒がいるのも事実ですが、そんな生徒に出会うのは年に数人です。ほとんどの生徒は、大差ありません。志ある生徒は、もっと自信を持って、怯まずにチャレンジしていいと思います。

生徒からすれば、目の肥えた添削者から、細かな添削を受けられる、しっかりとした解説があるというのが最大のメリットでしょう。

同会の強みは、過去の受験生の膨大な誤答例のデータベースを持っていることです。それを踏まえた解説や添削はやはり優れたものだと言わざるを得ません。

私なりの結論ですが、お勧めできるのは、難関大を受験するだけの決意と実力がある生徒です。普通の受験生には、問題が難しすぎます。荷が重すぎます。

もっとも、来年の高3生は、新しい教育課程。同会も、他の予備校もカリキュラムの変更はあるようです。

皆さんの参考になれば幸いです。